SECカーボンのCSR(企業の社会的責任)は、健全な事業活動の遂行による株主様・取引先様・協力会社様・従業員等への貢献、事業を行う地域への貢献活動、および、持続可能な社会の実現のための活動を通じて果すべきものと考えています。
本報告書には、GRIサステナビリティ・レポーティング・ガイドラインによる標準開示項目の情報が記載されています。「サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン第4版」との対照については、準拠対照表をご参照ください。
現代社会は、グローバリゼーションやIT化の進展とともに、多様性・複雑性が増し、成長や変化のスピードが加速する一方、地球温暖化、食料、エネルギー、水資源などの環境・資源問題をはじめとし、経済、環境、社会面において多種多様かつ重要な課題を抱えています。
われわれ企業は、社会や環境と折り合いをつけながら経済活動を進めていくべき存在であり、そうした活動なくして社会から信用され、持続的成長を遂げる事はできません。
世界から信頼され成長し続けるカーボンメーカーとして地球環境を大切にし、社会の発展に貢献していくことこそが、当社が社会の一員として果たすべき責務と認識しております。
代表取締役社長 中島 耕
当社は、創業以来、炭素材メーカーとして企業活動を行っていますが、その歴史において、省エネルギー、省資源、産業廃棄物削減などの取り組みを進めるとともに、取引先様、地域社会の皆様、株主様、従業員との関係を大切にしてまいりました。
過去を振り返りますと、1973年、当社は次の経営理念を策定しました。
経営理念
わが社は流動する変化に挑み、無限の可能性を探求し、業界の最高峰をめざす
1.わが社は需要家の要望に応える製品を創造する
1.わが社は社員および株主の幸福を増進する
1.わが社は社会の福祉発展に寄与する
この経営理念は策定から既に50年近くが経過しておりますが、この理念に基づく考え方は、現代の企業経営におけるCSRの重要性を先見し、未だ、何ら変わらず通用するものであり、当社の「持続的成長」のため、不可欠なものであると考えております。
また、2006年には、この経営理念をより具体化した行動指針を以下のとおり策定しております。この指針もまた、当社がCSRを強く意識し、経営を行っていく事を表明した証であります。
当社の経営理念を実践していくうえで、役員および社員が、規範として遵守すべき事項を行動指針として定めます。
当社の役員および社員は、この行動指針に沿って行動し、ステークホルダーの皆さまの期待に応える会社を目指します。
企業を取り巻くステークホルダーの皆様の、CSRへの関心は、年々高まりを見せております。
当社の持続的成長のためには、経営理念および行動指針を大切に守り、その実現に努力しながら、CSRに対する取り組みをより深化させていくことが不可欠であると考えます。
ステークホルダーの皆様ともに、日々の企業活動を通じ、当社の持続的成長と、社会課題の解決に取り組んで参りたいと思います。
当社は、反社会的勢力の排除を購買方針に定め、警察や地元企業等と連携しながら、反社会的勢力との取引を一切行いません。
当社は、個人情報保護法に関する法令等を遵守し、適切に個人情報を取扱います。
カソードブロック(SK-B)は、アルミニウムを製造する際の電気炉で使われる電極です。アルミニウム電解炉の底面に敷き詰められて使用されます。
カソードブロックには無煙炭や黒鉛を原料として成形・焼成しただけのものもありますが、SK-B の特長は黒鉛化していることです。これにより、熱・電気伝導性、耐熱衝撃性、耐浴性を高める事ができるため、世界中のアルミニウム電解炉で欠かせないものとなっています。
SK-B紹介ページ人造黒鉛電極は、電気製鋼炉で使用されています。鉄スクラップを溶解するための高温に耐え、大電流を流すことができる素材は黒鉛しか有りません。
鉄のリサイクルに欠かせない存在として国内外の電気炉メーカー様に製品を供給させて頂いております。
電極紹介ページ黒鉛には、耐熱性・電気伝導性、耐食性・潤滑性といった機能性に加えて、精密な機械加工が容易で、しかも軽いといった特長があります。
当社は、それらの特長を最大限に活かしながら、単独で、あるいは樹脂や金属との複合材料として用いられるよう、需要家が望まれる「形」に加工し、製品化しています。
特殊炭素製品紹介ページファインパウダーは高純度・高結晶度を誇る独自製品です。原料や処理方法により様々な種類があり、塗料用、摺動材用、電気用、電池用と多彩な分野で活躍しています。
当社では、人造黒鉛パウダーだけでなく、炭素質のカーボンパウダー、天然黒鉛質の天然黒鉛パウダーも取り扱っております。
ファインパウダー製品紹介ページ区分 | 男性 | 女性 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
役職者 | 45名 | 1名 | 46名 | |
一般社員 | 正社員 | 203名 | 11名 | 214名 |
期間社員・派遣社員 | 20名 | 6名 | 26名 | |
合計 | 268名 | 18名 | 286名 | |
組合員数 | 194名 | 5名 | 199名 |
男性 | 女性 | 全体 | |
---|---|---|---|
平均年齢(2022年3月31日現在) | 43.1歳 | 44.3歳 | 43.1歳 |
平均勤続年数 | 19.1年 | 15.0年 | 19.0年 |
組合員平均 | |
---|---|
月間平均時間外労働時間 | 2.93時間 |
有給休暇取得率 | 80.0% |
離職者数(除定年退職者) | 1名 |
2015年5月の会社法改正や同6月の株式会社東京証券取引所によるコーポレートガバナンス・コード設定など企業経営におけるガバナンスの強化を求める動きが強まっております。
そのような中、当社では、ステークホルダーに信頼して頂けるように、高い透明性と倫理感に基づく経営の実践に努めるため、2015年12月に『コーポレートガバナンス基本方針』を策定し、日々ガバナンスの強化に取り組んでいます。
その基本方針は、
となっております。
今後は、この基本方針のもと、ガバナンスの強化を推進し、企業価値の向上を目指してまいります。
当社の企業統治は、現行の監査役制度を通じて、経営陣から一定の距離にある社外監査役を含む各監査役が取締役会や経営会議その他重要な会議に出席し、経営陣に対し客観的評価に基づく発言をすることによりその監視、監督の実効性を高めています。当社の事業規模および組織構造を踏まえた場合、現行の体制は、監査の独立性と企業統治の効率性が十分に担保される体制と考えます。
参照:コーポレートガバナンス基本方針
(注)
法令および社則だけでなく、企業倫理を充分に認識し、社会の良識に則ること。
定期的に従業員を対象にアンケートを実施しています。目的は、組織の課題を見出すと同時に自身が普段行っている業務や活動の再確認を行なうことです。その結果を分析し、翌期の活動に活かしています。
内部通報規程を整備し、内部告発者を保護する体制を整えるとともに、通報窓口として、社内窓口と顧問弁護士による社外窓口を設け、通報や相談を受け付けています。
全社員を対象に、社内外の講師によるコンプライアンス研修を継続的に実施しています。
リスクマネジメント規程・危機管理規程を定め、潜在的なリスクの発生防止(リスク管理)および顕在化したリスクへの対応(危機管理)の両面から、リスクマネジメント体制を推進しています。
リスク管理に関しては、リスク管理担当役員がリスク管理を統括するとともに、取締役会が選定する重要リスクについて、そのリスク管理状況を定期的にモニタリングしています。
また、大規模な災害やシステム障害等が発生した際に、可能な限り短時間で事業活動の再開ができるよう、事業継続計画(BUSINESS CONTINUITY PLAN:BCP)を策定し、定期的に訓練を実施しています。
当社は、耐酸化性・電気伝導性などさまざまなカーボンの特長を生かした製品を供給し、 需要家のニーズに応え、高い評価を得ています。
そのために、当社は、国際品質規格であるISO9001の認証を取得し、独自の厳しい基準を設けて、全ての製品に高度な品質管理を行い、「原料の受け入れ検査」「工程ごとの工程内検査」「完成品の製品検査」と3段階の徹底した検査を経た信頼性の高い製品だけを需要家に届けています。
当社では、株主の権利の重要性を認識し、すべての株主がその持分に応じて平等に権利を行使できるよう努めています。
また、会社法で認められている少数株主の権利の行使方法についても、株式取扱規則において権利行使の方法を定めるなどして、その権利を円滑に行使できるよう努めています。
当社では、株主・投資家に対して、迅速、正確かつ公平な情報開示ができるように努めております。
そのため、ディスクロージャーポリシーを定め、株式会社東京証券取引所の『上場有価証券の発行者の会社情報の適時開示等に関する規則』等に従い、適正かつ迅速に情報開示しております。
また、上記に該当しない財務情報や非財務情報につきましても、株主・投資家の理解の一助となると判断した情報につきましては、ホームページ等を活用し、できるだけ積極的に開示しております。
そして、決算短信発表時には、その内容を補足する情報を「決算短信補足資料」としてホームページ等で開示し、ステークホルダーに決算の内容をより理解していただけるように努めています。
一方で、決算発表前などには、厳格な沈黙期間を設け、インサイダー取引の防止に努めると共に株主・投資家に対しての公平性にも配慮しております。
当社は、株主に対する永続的かつ安定的な利益還元を経営の最重要課題と考えており、剰余⾦の配当につきましても、各事業年度の業績を勘案し、企業体質強化のための投資等に必要な内部留保を確保しながら、出来る限り安定的に実施していくことを配当の基本方針としております。
招集通知を含む株主総会資料は、議案等の内容を十分に検討いただけるようホームページと東京証券取引所の適時開示情報伝達システム(TDnet)に掲載したうえで、株主総会の3週間前までに招集通知を発送しております。
SECカーボンでは、従業員が挑戦意欲・向上心を持って成長できる環境を整えることで自己実現を促し、経営理念の一つに掲げる「社員の幸福の増進」を図っています。
そして個人としての従業員の成長が、組織としての会社の成長に繋がり、ひいては需要家、株主、社会等のステークホルダーの皆様の期待・要望に応えていくことに繋がると考えています。
能力と意欲を持った相応しい人材が評価され、活躍できる環境を整えることで、成長と自己実現を図ることを促す人事諸制度の整備を行っています。
「求める人材像」を定義し、それに基づき、一連の「資格制度」「評価制度」「処遇制度」を見直し、より公平で成果を重視した制度を整備。運用にも力を注いでおります。
求められる人材要件
各職場でのOJT(On the Job Training)により、実務で必要なスキル・知識を獲得することは勿論、人事制度で定める資格制度に応じ、職場を離れたOff-JT(Off the Job Training)も制度として整備・実施することで、従業員の成長に注力しています。
特に入社時、中堅社員昇格時、管理職昇格時等、従業員に期待する役割に変化がある節目には必ず教育を実施しています。
また目標管理制度や評価制度といった人事諸制度を、従業員の成長を促すための仕組みとして位置付けると共に、その前提となる評価者(上司)の評価・育成スキルを向上させるための評価者教育にも注力しています。
その他にも、次世代のグローバル人材を育成するための海外派遣研修等の語学研修や、公的資格取得支援制度、自己啓発制度等、幅広い教育メニューを従業員に提供することで、従業員の向上心に応え、成長意欲を高める仕組みを整えています。
当社では、定年対象者が、65歳まで勤務できる再雇用制度を設けています。
また、2018年4月からは、再雇用が終了した後も必要に応じて雇用する再々雇用の制度を導入しました。
これにより、熟練社員の労働力を確保することを期待しております。
高齢者の意欲を一層高め、その技術・技能を継続的に活かすために、定年後に期待する役割を明確にし、その役割に応じた評価・処遇を行っています。
当社では、会社と社内唯一の労働組合であるSECカーボン労働組合が定期的かつ緊密なにコミュニケーションを行っています。
中央労使協議会を中心に様々な意見交換の場を設ける事で、従業員の経営への参画意識と信頼を高め、労使協調による経営を図っています。
法定の支援制度に留まらず、従業員が安心して働き、仕事とプライベートを両立させるための支援制度を充実させています。
半日有給休暇制度や失効有給休暇の積立制度に加え、私傷病による欠勤・休職時にも、従業員の療養から復帰までを手厚く支援する休職制度が整備されています。
また、社宅や各種の生活支援手当の支給等、従業員の生活を経済的に支援する制度も充実させています。
従業員が仕事と家庭を両立させ、公私で充実した生活を送るためには、制度の整備だけではなく、個人を大切にし、お互いの事情を理解する文化が根付いている必要があると考えています。
当社は高い有給休暇消化率を誇っており、一人当たり年間時間外労働は少なく、2013年には兵庫県より「ひょうご仕事と生活のバランス企業表彰」を受けるなど、従業員が活き活き働ける職場を大切にする風土づくりを行っています。
当社では行動指針の中で遵守すべき規範として「人格の尊重」を示すと共に、ハラスメント防止規程等、基本的な人権の尊重に関わる社内規程を整備。各事業所にセクシャルハラスメント、パワーハラスメントの通報・相談窓口を設置すると共に、その周知に努めています。
啓発活動としての教育にも力を入れており、入社時の人権教育は勿論、ハラスメント対応窓口となる相談員のスキルアップを図る相談員教育、そして毎年のコンプライアンス教育の中でハラスメント等のテーマを取り挙げ、定期的な教育を行っています。
従業員の幸福を増進すると共に、その能力を最大限に発揮するためには、健康で安全に働ける環境の整備が欠かせないと考えており、法定の安全衛生活動に留まらない制度整備と推進活動を行っています。
2015年度より経営方針に安全衛生の強化を掲げて安全衛生に取り組んで来ました。コンサルタントを招聘してのプロジェクトで得た成果を浸透させる取り組みを継続しています。本活動の実績につきましては、別紙資料「現場の笑顔を会社の推進力へ」をご参照ください。(「現場の笑顔を会社の推進力へ」の文字部分をクリックすると、pdfファイルを閲覧できます)
衛生管理の面では法定健診に加え、オプション検査や予防接種の補助金支給、また外部講師による健康増進プログラムの実施等を通じて意識の高揚を図っています。心と体の健康づくりに関しては、職場のメンタルヘルスケアの対応、また、ストレスチェック制度においては、全従業員に受検の機会を提供しメンタルヘルス不調の未然防止を図っています。
2021年度には、健康経営に取り組む企業として「きょうと健康づくり実践企業」優秀賞に選ばれました。
その他、受動喫煙の対策として、指定喫煙場所を2020年度以降に各所へ設置し、運用を開始しました。
「わが社は社会の福祉発展に寄与する」との経営理念に則り、ボランティアをはじめとした社会貢献活動の重要性を理解し、その活動への参加・支援に取り組んでおります。 2021年度は新型コロナウイルス予防の為、工業団地のスポーツ⼤会や近隣地区の神事も中止となり、当社野球グランドや体育館の開放も断念する事となりました。コロナ禍でも出来る地域社会への貢献として、京都工場外周清掃、福知山SECカーボンスタジアムの清掃活動、学童への記念品配布を実施致しました。
地域社会の一員として、地域のスポーツや文化の発展へ貢献したいとの考えより。 2019年に福知山市民運動場野球場のネーミングライツを取得し、「福知山SECカーボンスタジアム 」としました。定期的に清掃を行っております。
道路愛護等功労者として国土交通大臣から感謝状を受けました。
岡山工場外周清掃の様子
京都工場敷地内において、近隣地域住民の皆様との「地域交流会」を開催しています。「グランドゴルフ大会」等を企画実施し、コミュニケーションを深めております。
新型コロナウイルスにより実施を見合わせておりましたが、4年振りとなる2023年5月、地域自治会の皆様60名を招き、交流を図りました。今後も継続して実施していきたいと考えております。
年2回社内での「献血」運動を30年以上にわたり継続しています。また、一般の方にもご使用して頂ける「AED」設置を推進するなど社会福祉への貢献に努めています。
AEDが必要な場合には、正面の門を入った左側にある事務所の受付電話か写真の位置から南100m先にある守衛所にお申し出ください。
交通ルール順守の啓蒙活動や地域の防災・防犯活動にも参加し、住みよい社会づくりに努めています。
2016年5月には「福知山市消防団協力事業所」にも認定され、2022年に登録を更新し、継続して取組んでいます。
地元の高校生を対象にしたインターンシップの受け入れや、地域住民の工場見学を実施するなど「製造現場」を直接見て感じて頂くことで、社会教育の一助としています。
当社は、限りある資源を次世代により良い状態で伝えるため、事業活動のあらゆる面で地球環境の保全に配慮することを基本理念として、持続的発展が可能な社会に貢献します。
当社は、製造に関わるすべての活動、製品及びサービスから生じる環境への影響を的確に捉え、環境負荷の低減と環境保全に貢献し、環境に配慮した行動を以下の様にとります。
取り組み | 活動内容 | |
---|---|---|
省エネルギー・温暖化防止 | エネルギー使用量の削減 省エネ推進委員会の推進 |
● 黒鉛化電力の使用量(原単位)の削減 ● 部門別の省エネ活動及び情報交換 ● エネルギー管理士の助言・支援を受けた省エネ手法の学習 |
省資源・リサイクル | 産業廃棄物量の削減 | ● 廃棄物の削減(3R活動) ● 廃棄していた副産物等の再利用促進 |
環境負荷の低減 | 環境保全協定の順守 排ガス、排水処理の濃度監視 |
● ばいじん、SOx、排水、騒音等の規制値遵守 ● 環境測定設備の導入及び運用 |
社会貢献 | ボランティア・サポート 献血の協力 |
● 環境ボランティア活動(年6回) ● 社内献血(年2回) |
当社は今後CSR活動を更に発展させたサステナビリティ活動に取組み、世界から信頼され成長し続けるカーボンメーカーとして地球環境を大切にし、社会の発展に貢献する事をミッションとする弊社に相応しいサステナビリティ経営を推進して参ります。